東京都大田区、下町の高級住宅街に建つ低層マンション最上階のリノベーション。和のイメージを持たれていたクライアントに対して単純な和ではなく、北欧と和の調和をうまく表現できないかと試みた。玄関まで一枚で繋がるリビング天井にはヒノキ小幅板を柾目使いし、大きなピッチの押縁で見切ることでリズムを持たせつつ空間の質を高める工夫をしている。
リビングは一段下がったウールカーペットのスペースに、またバルコニーに面する南側の出窓部分は障子を一直線に通し、サンルーム兼書斎カウンターとして区切り眺望を活かしている。障子上部にはエアコン一台による全室空調の冷房吹き出し用のガラリがぐるっと廻る。
お孫さんがたくさん遊びに来る家として、大きな小上がりの和室をリビングの延長として設け、仕切りには板戸とフラッシュ戸、ガラス戸を組み合わせた、昔ながらの家のふすま戸をリデザインした建具を設置。家全体を回れる動線として、人も風も心地よく通り抜けられる木の住まいとなった。
(マスタープラン / 小谷和也)