納入事例
コンセプト
奈良を拠点とする照明器具メーカー、NEW LIGHT POTTERYのオフィス兼ファクトリーである。
周辺には江戸から明治にかけての町屋が多く立ち並ぶ「ならまち」に建つ5階建てのペンシルビルを改修した。
屋号のtrophyは、祝用品を取り扱う以前のビル所有者が塔屋に残した看板の文字に由来する。
小さな面積が積み重なるビルの特徴を生かしてフロア毎に用途を変え、1階を荷解き場、2階にオフィスと作業場、3.4階は倉庫、5階をフォトスタジオとし、屋上にはデッキを敷きルーフトップテラスを設けた。
1階には階段を増設して動線を強化し、隣に浮かぶアルミの照明器具とシンクロするように側桁を溶融亜鉛メッキとした。
2階は杉の棚板に合わせて躯体をアイボリーに塗装し、エントランスホールを兼ねたガラスの階段室にはネオンサインを掲げた。
3.4階はスチール素地の支柱を効率よく並べ、5階はそれぞれの壁に異なった左官仕上げを与えることで、様々な印象の写真を取ることを可能とした。
屋上からは、結ぶべき焦点は無いが、まだまだ余白の残る奈良の風景をぼんやりと眺めることができる。
ローカルから生まれた照明器具は静かに、しかし確実に全国へと拡がっている。
(ninkipen! / 今津康夫)
木材仕様
棚材・方立・カウンター材
杉 のじもくまのパネル(巾接ぎパネル) 小節(埋木) 巾480㎜×厚30㎜
棚材やカウンターに使う杉材を探されているとご相談いただき、規格で製作している「のじもくまのパネル」をご提案しました。
160巾の板を反り防止のために木表・木裏で交互に貼り合わせているもので、長手方向にジョイントがなく、無垢材と同じ質感で使えるのが特徴のこのパネル。
両面をサンダーで仕上げているので様々なシーンで使いやすく、造作家具用の部材としてもよく使っていただいています。
今回このようなパネル同士の接合部の美しい納まりを見てとても嬉しく、まだまだ家具で使われる機会の少ない杉ですが、使い方・ご提案の巾を広げることで、活躍の場をこれからも増やしていきたいと思いました。
撮影
河田弘樹