島根県の山間部、広大な農地を見渡す敷地にこの家は建っています。傾斜地であり勾配なりに細長い敷地形状だったので、それに合わせた切妻屋根のシンプルな躯体を土地の真ん中に配置しました。それはさながら山小屋のような佇まいです。
この地域は標高が高く冬は雪深いことから屋根付きの車庫が望まれました。また新潟などで見られる雁木造のような、庇のかかった外部スペースを道路側に設けています。ここは積雪のある日でも活用できる外部となります。
広間は床、壁、天井とも木材で仕上げてあります。手が触れる、足で踏む場所はできるだけ優しい柔らかい素材で仕上げたい。厚みのある無垢の杉材は人との相性が一番良いと思う。たくさん触ってたくさん踏みしめてもらいたい。
また広間の上方には建主にゆかりのある建築に使われていた床材を古材として使用しており、場所の記憶を継承することを意図しています。(中山建築設計事務所/中山大介)