日本の山と住まいをつくる

杉と桧と住まいをつくる

日本の山と住まいをつくる

SHOCHIKUCHO HOUSE

納入事例

コンセプト

京都に計画された、若いご家族のための住宅である。
敷地は間口5.5m、奥行き25mほどの、東西方向に細長い長方形の形状をしている。かつてこの土地に、京都の伝統的形式による町家が建っていたと想像させられる土地であった。
お施主さんからは、知人が集まれるような広いリビング、ダイニング、キッチン、寝室、子供部屋、浴室、ゲストルーム、駐車場、倉庫などが求められると同時に、現代の京都の町家とも呼べるものをつくってほしいとの要望があった。
私たちが提案したのは、敷地いっぱいに建つ、高さ8.5mの吹抜をもった通り庭形式の住宅である。
周辺の建物より少し背を高くし、そこから光や風といった自然環境を取り入れる。南に面した吹抜空間である通り庭全体が環境装置となり、夏は風が流れ、冬は陽だまりのできる、1年を通して快適に過ごせられる、明るい屋外のような環境をつくっている。
全ての部屋が通り庭に面しているので、建物のどこにいても、通りからのにぎわいや季節の移ろいを感じることができる。室内とのあいだの建具を開け放てば、全体をひとつのおおきなリビングとして使うこともできる。
京都の伝統的な住居形式によって、京都で生活するたのしさや豊かさを感じられる住まいになれば、と考えた。

【木材について】
今回のプロジェクトでは、外装のルーバー材、外壁材、内壁材、天井材、床材と、ほとんどの木仕上げ材を、野地木材さんにお願いさせていただきました。

野地木材さんのヒノキは、少しピンク味を含んだ優しい色味と、ほんのりとしたツヤ感が特徴です。

その木が空間全体に広がる時、どのようにすればより美しく、優しく、凛とした表情、空間をつくることができるかを、施工者の方々や野地木材さんと、様々な視点からたくさん相談、議論させていただきました。

より良いものを目指して、常に前向きに、ご丁寧にご相談にのってくださったことが、プロジェクト全体の活力にもなりました。

心より、感謝申し上げます。(西沢立衛建築設計事務所 / 東出優子)

木材仕様

外部ルーバー材

桧 上小

外壁材

桧  ム・上 巾100㎜×厚12㎜ ドイツ下見板本実タイプ キシラデコール塗装

桧  ム・上 巾100㎜×厚16㎜ ヨロイ張り加工 キシラデコール塗装

床材

[1階]桧  ム・上 巾75㎜×厚15㎜ 面取りなし 床暖房仕様フローリング
[中2階・2階]桧  ム・上 巾75㎜×厚12㎜ 面取りなし

壁板

桧  ム・上 巾75㎜×厚10㎜ 面取りなし

天井材

桧  ム・上 巾75㎜×厚10㎜ 面取りなし 

外部から室内にわたり、桧をふんだんに使っていただいた住宅。
どのような建築を作られるのか、その中で素材に対するこだわりも幾度となくお話いただき、桧の持つ性質・性能を考慮しながら意匠的な魅せ方を検討。サイズや加工形状など、お打ち合わせを重ねながら仕様を固めていきました。
私達だけでは想像できない桧の使われ方。また素材を理解し、より美しく活かす為に自ら「木配り」をされる姿勢に感動しました。
設計者、施工者の皆様と打ち合わせさせていただいた時間も学びとなった貴重な時間でした。

撮影

©︎ Office of Ryue Nishizawa

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