納入事例
コンセプト
「Carbon Negative Greenhouse(サーキュラー木造温室)」は、未利用木材を活用した木造温室であり、また次世代の木造建築モジュールです。木の持つ調湿性や断熱性を最大限に活かしながら、構造材から仕上げまでを木材で構成。温室として植物を育てることはもちろん、住宅や倉庫、オフィス、ギャラリー空間など多様な空間用途に展開できます。
国産木材の通常の製材プロセスにおいて、木取りにより建材から外れてしまう木材を活用し、構造モジュールをデザインしました。従来の輸入金属による鋼製ハウスと同等価格・同等強度であるのに対して、国産材による優れた性能を発揮します。また施工はプレファブ化され、地域材を活用することで輸送エネルギーを抑えるのみでなく、地域の大工たちにより建設、解体後の再構築も可能としています。
また木造温室モジュールは、建築の過程で発生するCO₂を最小化するだけでなく、木が吸収した炭素を建物内に固定し、建てるほどに環境に貢献する“カーボンネガティブ”な建築を実現しています。私たちは、サーキュラーエコノミーの理念を建築に実装する日本のトップランナーとして、「捨てない建築」から「循環する暮らし」へをつくります。
三重県産の杉と桧で、構造材から仕上げに至るまですべての木材をnojimokuで製材・納品させていただきました。 土台や軒桁の一部には桧を、その他の部分には杉材を使用しています。
今回のプロジェクトで特筆すべきは、通常なら品質規格から外れてしまう「ハネ材」や、内装材を製材する際に余ってしまう「三角形の芯材」を活用している点です。 工場視察に来られた設計者の小澤さんがこれらに目を留め、「建築側の工夫で十分に使える」と新たな生命を吹き込んでくださいました。 本来なら処分されるはずだった木材が活用されることは、丸太の「歩留まり」を向上させ、それが巡り巡って山元への還元にもつながる、製材所としても非常に意義深い取り組みです。
また、加工はnojimokuの工場にて大工さんと連携して行いました。 設計者、大工、そして製材所がワンチームとなり、機械加工と手加工を最適に組み合わせることで、コストも手間も最善の着地点を見つけることができました。
みかん農家が多いここ熊野で、従来のビニールハウスがこのような「かっこいい木造温室」に変わっていけば、地域の景観はもっと美しくなるはずです。 「使えない」と思われていた木材が、設計の力で未来をつくる。林業と農業の連携が生む新しい風景に、私たち自身もワクワクしています。




















