納入事例
コンセプト
山形県の日本海側にある庄内平野に建つ住宅です。広い敷地の中心には建主の両親が住む母屋があり、その北側にあった蔵を解体して建てた住まいです。十分な広さと庭が確保されているので、平屋でゆったりとした佇まいがこの地にふさわしいと考えました。またこの集落で多くみられる瓦屋根を採用することは自然なことでした。
室内からは広い庭を楽しめるよう幅広く開口部を確保しています。垂木を現しにしたり天井面はできるだけ木材を使っています。室内に木を使うことで寒く長い冬に見た目だけでも暖かく過ごせるだろうと考えました。
実際にも断熱性能を高めることで暖かく過ごせているようですが、この家の暖かさや建築の質を一気に高めてくれたのは床に使っている桧無地の30ミリ板だと思います。幅広で無地の見た目もとても綺麗なのですが、「厚い」ということが普段はあまり感じないけど、長い時間にわたって人の心身に良い効果を与えてくれるだろうと考えています。(中山建築設計事務所/中山大介)
住まい手の声
床に関しては迷いましたが、やはり厚い30ミリの桧にして良かったと思います。床暖はないのですが、子どもたちは気持ちよすぎて床によく寝そべっています。無垢なので冬は目地に隙間が空いてきたりしていますが、それも木が生きていることを感じることができ、働いてくれているんだなと愛着を持てます。
木材仕様
床板
桧 ムジ 巾150㎜×厚30㎜ オスモ塗装(フロアークリアー)
天井板
桧 小幅板風羽目板 ム・上 巾100㎜×厚12㎜(3本溝)
軒天
杉 赤生節(埋木)巾105㎜×厚12㎜
床板は桧のムジ、厚み30mmという希少価値が高いもの。良質な桧の原木がとれる地域材の強みを活かした製品です。製材、乾燥、加工工程を経て出来上がってきた材に、耐久性の面も考慮しながら検討されたオスモ塗料も弊社で塗装させていただき納材。
天井の小幅板風羽目板も床板と同じ素材、桧が使われていますが、凛としたおおらかな空間がひろがる美しい様子を拝見し、嬉しく思いました。
撮影
中山大介